全豆連 トップページ > 豆腐の添加物を知る
豆腐には、製造過程において、次の2種類の添加物が一般的に使用されます。いずれも食品衛生法で指定され、その使用基準等に基づいております。なお、防腐剤は使用されていません。
豆乳から豆腐を作る次の工程「凝固」のための添加物で、豆腐製造には不可欠なものです。豆腐の凝固剤として食品衛生法で指定されているものは、次の凝固剤です。
a.硫酸カルシウム、b.塩化マグネシウム(ニガリ)、c.グルコノデルタラクトン、d.塩化カルシウム、e.硫酸マグネシウムです。このうち、主に使われているものは、a、b、c、dです。
また、凝固剤には、それぞれ特質があり、豆腐の種類に応じた使用がなされており、豆腐製造者が自分でこれらをミックスしたり、ミックスされた製品をそれぞれ工夫して使用している場合もあります。
砕いた(磨砕)大豆(生呉)を加熱(煮沸)すると泡が生じます。この泡を消すために使用します。泡があると食感のよいきれいな豆腐に仕上がらなく、日持ちも悪くなります。
消泡剤にはa.油脂系消泡剤、b.グリセリン脂肪酸エステル、c.シリコーン樹脂があります。
b.は、食用油脂とグリセリンを反応させて造ったもので、乳化剤として広く用いられているものです。
c.は、自然界に広く存在する珪石を構成する珪素が主成分です。
これら消泡剤は、目的に応じて、広く使用されております。
なお、これら消泡剤は、食品衛生法で、加工中に消滅または最終食品に残っていても微量な「加工助剤」として扱われています。
■ 塩化マグネシウム(ニガリ)
塩化マグネシウムは、ニガリの主成分です。昔から豆腐はニガリで作られてきましたが、戦時中に軍需物資(ジュラルミンの原料など)として調達されたことを契機として、その使用は大きく減少して参りました。しかし、最近では、自然指向やグルメ指向もあって、使用が増えつつあります。
ニガリは、海水から塩(塩化ナトリウム)を採った残りのものから産出されますが、主成分が塩化マグネシウムです。なお、海水から塩化ナトリウムと塩化カリウムを分離した粗製のもの(粗製海水塩化マグネシウム(別名・塩化マグネシウム含有物))もニガリとして付記表示が認められています。
ニガリは、水に溶けやすく、豆乳の凝固反応が速い(速効性)ので、凝固に技術を要するともいえますが、ニガリは大豆の甘みなどを引き出す面もあります。
ニガリの名称:苦汁(苦(に)が味のある汁)からきています。
■ 塩化カルシウム
この凝固剤は、水に溶けやすく、凝固力が強く、凝固の速度が速い等のため、主に油揚げや凍り豆腐用の豆腐に使用されています。
■ 硫酸カルシウム(澄まし粉)
天然ものとしては石膏から作られますが、現在では、化学的に合成されたものが大くを占めています。業者間では、「澄まし粉」と一般に呼ばれています。この澄まし粉は、昔から使用されてきた「ニガリ」が第二次大戦中に軍需物資として調達された代替品として多く使われるようになったものです。
硫酸カルシウムは、水に溶けにくく、豆乳の凝固反応が遅い(遅効性)ため使いやすく、また保水力が高いので舌ざわりのよい滑らかで弾力のある豆腐のできる特徴があります。
■ グルコノデルタラクトン
でん粉を原料として、発酵法で作られたものです。この凝固剤は、水に溶けやすく、豆乳に均一に溶けますので、均一で保水性に富んだ豆腐が得られます。そのため、絹ごし豆腐の製造にも適しており、また凝固の速度が遅いこともあって機械による製造にも向いている面があります。なお、他の凝固剤が塩で反応する凝固であるのに対し、酸で反応(酸凝固)するという特質があります。